時代背景やストーリー、人物自身の性格など、さまざまな意図が込められ作られている映画ヘアメイク。本記事では、ハリーポッターの1作目から約70年前の、1926年のアメリカが舞台とされている「ファンタスティックビースト」のファッション、ヘアメイクを分析していきます。
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ファンタスティックビーストのあらすじと主要人物

1作目は魔法動物の研究と保護の為に世界中を旅しているニュート。その途中に寄ったアメリカでトランクの中に入っていた魔法動物を逃してしまいます。その一部始終を目撃していた人間のジェイコブと魔法使いのティナ。ティナの妹のクイニーも仲間になり、4人で魔法動物を捕まえるために探し回る冒険譚の様な内容とキャラクター紹介も含めたような作品になってます。
2作目からのダンブルドアと闇の魔法使いグリンデルバルドの2人の戦いが軸になります。若い頃の2人は互いに尊敬しあい大切なものと考えていました。しかし、魔法使いの立場に対する考え方から対立してしまった2人の気持ちと立場は今後どうなっていくのかが気になる作品です。
主要人物1.ニュート・スキャマンダー (俳優:エディ・レッドメイン)

イギリスの魔法使い、魔法生物学者
控えめな性格ですが、頭もよく、他人を思いやる揺るぎない優しさもピカイチです。ただ少し言葉足らずな点もあり、自分の気持ちを素直に相手に伝えるのは難しそう。魔法動物愛も大きくとても研究熱心な学者です。
主要人物2.ティナ・ゴールドスタイン(女優:キャサリン・ウォーターストン)

アメリカ合衆国魔法議会に勤務している魔女。
生真面目なキャリアウーマン。かなり現実的で常識的。正義感が強すぎるが故に少しから回ることも。真っ直ぐに突き進む性格なので、組織の中では少し問題児の様な一面もある様子。
主要人物3.ジェイコブ・コワルスキー (ダン・フォグラー)

缶詰工場で働いています。
自分のパン屋さんを開くのが夢。温厚で社交的なので直ぐに他人と仲良くする事ができ、人に好かれやすい人です。思いやりのある性格からか、魔法動物も直ぐに手懐けることもできました。
主要人物4.クイニー・ゴールドスタイン (女優:アリソン・スドル)

ティナ・ゴールドスタインの妹。
アメリカ合衆国魔法議会の杖認可局職員。明るく女性らしい愛嬌のあるチャーミングな性格です。自由奔放な性格ですが、非常に勇敢な一面もみられます。
ニュート・スキャマンダー|ヘアメイク・ファッションポイント

『ファッションのポイント』

全体を通してジャケット、ベスト、パンツの紳士服スタイルが多めです。キャラクター的にもあまり活発で元気という印象よりは少し大人しめな性格なので色使いはそこまで多くは無さそうです。1920年代は「紳士服の過渡期」とも言われているので、時代に沿ったファッションです。学者なのでファッションには少し無頓着なのかもしれないですね。ファッションというよりは制服に近い感覚なのかもしれません。

ベストの色がブラウンベージュ系かグレーで一式揃えているスタイルが多く感じます。コートはくすんだコバルトブルー系かグレー系。コートの襟は立てた着方が多いです。靴はレザーの編み上げブーツで、パンツは動きやすそうな少し細身のタイプで、ウエスト位置は少し高め。

蝶ネクタイはチェック柄やストライプ、ネイビー系で1番変化が見られるポイントなので、蝶ネクタイに少しこだわりが見えそうです◎
ニュートが身につけている蝶ネクタイは全体がほぼ真っ直ぐなシルエットのストレートエンド(バットウィング)と呼ばれる種類です。蝶ネクタイの素材とスーツの素材はあえて合わせているように感じます。蝶ネクタイはビジネス向きではないですが、ニュートの少しおっちょこちょいな可愛らしい1面と、とてもマッチしているアイテムだと思います◎
『ヘアのポイント』


ヘアはほとんど変動は無く、天然パーマを生かしたスタイル。後ろとサイドはスッキリめにしていて、前髪は少し長めで少し流したスタイル。ノーセットな感じがスタイルへの無頓着さを感じさせます。
この時代のヘアスタイルは少し光沢があり、分けてジェルで固めているようなヘアスタイルが主流だったので、それに比べるとかなりラフなスタイルなのが分かります。
『メイクのポイント』

肌質はマット。肌のトーンも少し暗めでそばかすもありくすんだ肌色です。髭はいつも綺麗に処理されています。
ティナ・ゴールドスタイン|ヘアメイク・ファッションポイント

『ファッションのポイント』



ティナは生真面目なキャリアウーマンなのでジャケットにパンツスタイルが多く見られます。ガウン型のレザーのジャケットやチェスターコート。襟が大きめのコートなのでブラックのレザーでも女性の可愛らしい感じもあります。ジャケットも丈が長めで深めのVネックシャツ。
靴は動きやすいものでレザーの靴か少しヒールのあるブーツが多いです。
外に出る際は帽子を被っていることが多いですね。この時代に流行した釣鐘型の「クローシュ」と呼ばれる帽子です。
スカートを履いていることは全く無くストレートで太めのパンツスタイルが主流になってます。
1920年代の女性ファッションは膝丈の少し短めなスカートで、ウエストのラインは主張せずローウエストにポイントをおいているファッションが流行しました。
『ヘアのポイント』



顎ラインより少し上のぱつっと切りそろえられたボブカット。1920年代の流行りのスタイルです。
ストレートよりは少し癖のあるウェーブがかったスタイル。前髪は長く分けていますが、2作目からは眉上のぱつっとした前髪になっています。
お顔の形的にも前髪がある方が可愛らしい雰囲気でとても似合っていますね。
『メイクのポイント』


メイクはナチュラルでオレンジベージュ系のチークとリップもオレンジ系やくすみのあるローズ系。。ストレートに近い眉毛の形が、ティナの真面目でしっかりとした印象をより強くさせています。
ジェイコブ・コワルスキー|ヘアメイク・ファッションポイント

『ファッションのポイント』


時代に沿った紳士服のファッションであり、蝶ネクタイでは無くネクタイを身につけています。ジェイコブは自分でパン屋を立ち上げるのにお金を借りる為銀行へ通うこともありました。
蝶ネクタイはフォーマルな印象が強くビジネス向けでは無いので蝶ネクタイでは無く普通のネクタイを身につけていると思われます。ネクタイの種類も豊富で、ベストのボタンもちぐはぐだったりするので、ファッションには少しこだわりがあるタイプかなと思います。
『ヘアのポイント』


1920年代に流行したきちっと分けられてジェルや、グリース系の艶のあるスタイリング剤で固められているスタイル。工場で働いてることもあるのか短めでスッキリとしています。パーマを当てたような少し癖の柔らかそうで扱いやすそうな髪質です。
『メイクのポイント』

綺麗に整えられた髭と肌ツヤも良く清潔感を感じさせます。
クイニー・ゴールドスタイン|ヘアメイク・ファッションポイント

『ファッションのポイント』



女性らしい体のラインが綺麗に出るようなワンピーススタイルがとても多いです。
色使いも鮮やかなものが多く、特にピンク色の服が主流になっていて愛嬌のある性格にもとてもぴったりなファッションです。ピンク色のベレー帽を被ることも。
ヒールのパンプスがより魅惑的な女性らしさを引き立てます。
姉のティナとは真反対のファッションスタイルになっています。
『ヘアのポイント』

短めのボブカットにブロンドの綺麗なウェーブスタイル。
作品中で髪型が大きく変わることはありませんが分け目が少し変わる程度。華やかな女性の服装にピッタリなヘアスタイルです。
『メイクのポイント』



1920年代の華やかなメイクに沿ったクイニーのメイク。
アイシャドウもしっかりと塗られておりブラウン系の艶のあるようなラメのアイシャドウです。陰影をつけるため目を囲むように塗られており、マスカラもしっかりと塗られています。チークとリップは近しい色合いでローズ系。チークは頬骨部分を強調するように丸い形で入れられている。眉毛はアーチ系で、少し細めの直線的なラインと角度、眉山がしっかりある眉毛。眉尻はすこし長めです。マットだけど自然な艶もある肌質。
分析結果
改めて分析してみると、作品中のキャラクターの印象や性格が分かりやすく作られていました。作品自体の印象はすごく華やかな作品ではないので、その他の登場人物などの衣装も全体的に少し落ち着いたものが多かったです。時代背景に沿ったもので構成されていたなと感じます。
このように、時代背景やストーリー、人物自身の性格など、ヘアメイクやファッションを通じて読み取ることができます。皆さんもぜひ注目しながら作品を見てみてください◎