美容師×ヘアメイク=ヘアメイク師が、ディレクションから撮影まで行うショートドラマ。今回公開した動画は、『超える想い』です。
脚本を渡されたヘアメイク師は、物語の内容からどんな背景を読み取り、登場人物のキャラクターをどのようにヘアメイクで表現しているのでしょうか。テクニックはもちろん、技術者としてヘアメイク師が行った分析のプロセスや表現の仕方をまとめました。
コンテンツ
<物語の概要>
結婚間もなくして妻を病気で亡くした男性。今日は自分の誕生日だ。これからも一緒にお祝いしようと言った妻の笑顔を思い出し、懐かしさと寂しさに思いを馳せていると、玄関から物音が。切なくも心温まる夫婦のお話。
<登場人物別ファッション・ヘアメイク解説>
今回『超える想い』に登場する人物とそのキャラクター、担当した役者さんをご紹介するとともに、ヘアメイクを解説します。
男性役:山川慶翔
山川慶翔さんが演じる男性は、穏やかで平凡なサラリーマンでしたが、妻の死によって全てを無くしてしまいました。
ファッションポイント
衣装チェンジがたくさんある作品でした。スーツは仕事ができそうな感じで、私服はカジュアルな服で親しみやすい感じをチョイスしました。
メイクポイント
【過去のシーン】
肌のトーンを整えて、ツヤ感のあるファンデーションでツヤを出しました。眉毛は俳優さんのしっかりとした眉毛を活かして少し形を整えたくらいで、眉マスカラをつけました。
リップは赤ピンクとグロスを混ぜて、自然な血色感が出るようにしました。ハイライトを目の下とおでこに入れ、ローライトは彫りを深く見せるために骨格の窪み部分に入れて立体感を出しました。
【現在のシーン】
妻を亡くしてから悲しみを抱えやつれている感じを出すため、ファンデーションはそのままで、頬をこけさせるためにローライトで影を作り、目の下のクマははじめにグリーンのアイシャドウでくすみを出して、暗めのブラウンで影を作りました。唇の色もファンデーションで消して、カサカサ感を出しました。
ヘアポイント
【過去のシーン】
俳優さんのセンターパートを活かして、WAXで束感を出しました。少しパーマが残っていたので、クシュッと揉み込むようにWAXをつけるのがポイントです。
【現在のシーン】
おしゃれをする気力もなく身だしなみを最低限整えている感じを出すために、無造作におろしてボサっと感を出しました。前髪を少しおろして、気だるい感じにしています。
妻役:藤原玲奈
藤原玲奈さんが演じる女性は、生前、温厚で明るく冗談好きで、いつも笑顔が絶えないキャラクター像をイメージしてヘアメイクをしました。
ファッションポイント
シンプルでありつつ女性らしい可愛らしさのある服を選びました。
メイクポイント
女優さんが一重+たれ目だったので、アイシャドウ等は濃くせず全体的にナチュラルかつ血色感のある明るいメイクにしました。アイシャドウの色味は今回コーラル系のオレンジとピンクをまぜました。アイラインはしっかりと引いてしまうと地雷っぽくなりそうだったので、今回の女性のイメージ像に沿ってあえてアイシャドウで薄めに引きました。
ヘアポイント
今回家の中がコンセプトだったので結ぶか迷いましたが、あえておろすのを多めにしました。
外にいる時のみローポニーテールにしました。
ディレクションから撮影まで!幅広いスキルを持つヘアメイク師
脚本から読み取ったストーリーや登場人物のキャラクターを、どのように表現しているのかご紹介しました。ショートドラマの世界観を作り上げるために、ヘアメイクやファッションに込められた意図がたくさんあることがわかりましたね。
ヘアメイク師についてもっと詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。
【ホントの気持ち】撮影協力
<脚本>
池田剛
https://youtube.com/@karusu1
https://twitter.com/Kouki_Birth
https://instagram.com/heiz_go/
<出演>
男性役:山川慶翔
https://www.instagram.com/y.keito1013/
女性役:藤原玲奈
<ヘアメイク、ディレクション、撮影、編集>
タカ・エンタープライズ有限会社(https://www.ruth.co.jp/)