美容師×ヘアメイク=ヘアメイク師が、ディレクションから撮影まで手がけるショートドラマ。今回公開した動画は、『狂気転じて晴れのち嵐』です。
脚本を渡されたヘアメイク師は、物語の内容からどんな背景を読み取り、登場人物のキャラクターをどのようにヘアメイクで表現しているのでしょうか。テクニックはもちろん、技術者としてヘアメイク師が行った分析のプロセスや表現の仕方をまとめました。
コンテンツ
<物語の概要>
カフェでお茶する智弘と真矢に声をかけてきたのは智弘の幼馴染で真矢の同級生である百合子。久しぶりの再会に喜ぶ智弘と違い、何やら気まずそうな反応をする真矢。実は学生時代、百合子の彼氏を奪ったことがあった。その彼と今度結婚することが決まった百合子は、真矢と連絡先を交換し今度会おうと誘ってくる。
<登場人物別ファッション・ヘアメイク解説>
今回『狂気転じて晴れのち嵐』に登場する人物とキャラクター、担当した役者さんをご紹介するとともに、ヘアメイクを解説します。
智弘役:山本寛大
山本寛大さん演じる智弘は、百合子と真矢の中学からの幼馴染。まともな性格をしていますが、女性特有の行動原理などに鈍感で若干空気が読めない一面も。
ファッションポイント
休日はカフェ巡りをしていそうな清潔感のあるインスタグラマー系の男性にスタイリングしました。メガネは、俳優さんに持参してもらったものだとかなり刑事感が出たので、ヘアメイク師私物の伊達メガネに変更して対応しました。
メイクポイント
普段フルメイクをするような人物ではないため、メイクはファンデーションなどでベースを整えるくらいのナチュラルな仕上がりにしました。撮影の途中、汗・皮脂などで崩れたところをパウダーでカバーしたり、ファンデーションを重ねたりしました。
ヘアポイント
ヘアはゆるふわなセットにしたかったので、アイロンを使って細かく巻いてパーマ感を演出しました。俳優さんの髪の毛が細く軟毛で立ち上がりにくかったので、苦戦しました。
真矢:岩崎まお
岩崎まおさん演じる真矢のキャラクターは、周りを気にしない自己中心的な芯強めのギャル。友達の彼氏や男友達にずる賢く関わるあざとさがあります。
ファッションポイント
大きめのニットをワンピ風に着こなし、トレンド感のあるミニバックを合わせてあざとさを強調しました。
メイクポイント
アイメイクは、あざとさを出すためにピンクとブラウンのアイシャドウを使ってグラデーションを作り、ギャル感をプラスするためにラメを重ねました。アイラインとマスカラをしっかり濃くすることでギャルらしい強い目力を表現。ノーズシャドウをシェーディングも気持ち濃いめに入れることでギャル感が増します。
ヘアポイント
前髪があると可愛らしさが出てしまうので、かきあげることで強さを表現しつつ、全体をゆるくふわふわ巻きにすることで、あざとさとギャル感を両立させました。
百合子:海亜
海亜さん演じる百合子のキャラクターはねちっこい気質で、昔の恨みは晴らすまで気が済まない執念深さがあります。真矢と同じくギャルです。
ファッションポイント
ギャルを意識して黒のブーツに露出度高めのミニスカートにしました。智弘も真矢も秋っぽいファッションだったので、ふわふわのファーで秋っぽさとギャル感を表現しました。執念深さのあるキャラクターで気が強そうな印象だったので、ブラックを貴重としたファッションにしたのがポイントです。
メイクポイント
気が強い印象にするために、眉尻をキリッと上げてはっきりと。骨格を際立たせるために、ローライト・ハイライトを普段のメイクよりも濃く入れました。アイシャドウは、目力を強調するためにオレンジブラウン系をアイホールに広めに塗っています。俳優さんが一重だったため、アイラインは少し長めに引いて跳ね上げ、切れ長に見えるように描きました。リップはマット系で輪郭がハッキリ出るように塗りました。
ヘアポイント
俳優さんがウィッグを持参してくれたのでそれを被り、重ための前髪は分けて顔がしっかり見えるように整えました。気が強い印象になるように巻き髪ではなくストレートヘアにしました。
ディレクションから撮影まで!幅広いスキルを持つヘアメイク師
脚本から読み取ったストーリーや登場人物のキャラクターを、どのように表現しているのかご紹介しました。ショートドラマの世界観を作り上げるために、ヘアメイクやファッションに込められた意図がたくさんあることがわかりましたね。
ヘアメイク師についてもっと詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。
【狂気転じて晴れのち嵐】撮影協力
<脚本>
池田剛
https://youtube.com/@karusu1
https://twitter.com/Kouki_Birth
https://instagram.com/heiz_go/
〈出演〉
智弘役:山本寛大
真矢役:岩崎まお
百合子役:海亜
<ヘアメイク、ディレクション、撮影、編集>
株式会社アルシュ(https://arche-beauty.com/)
株式会社ウインナー美容室(https://www.winner-group.jp/)
株式会社カプラス(https://www.kaplus.jp/)