
感情の変化が多く見られる切ないラブストーリー「余命10年」。この作品のヘアメイクやファッションからどのようにして平成の時代の変化やすれ違う感情、闘病の姿が感じられるのか、考察していきます。
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【余命10年】あらすじ

数万人に1人という不治の病で余命が10年といわれた高林茉莉は生きることに執着しないよう、恋はしないと決めていた。そんな時、同窓会で真部和人との再会。生きる気力を失っていた和人は茉莉との約束で生きることを決意する。次第に想いを抱く和人と茉莉。自らが病に侵されていることを隠して過ごす一方、楽しい思い出の数が増えるたびに失われていく時間。2人のすれ違う気持ちがどのように交わるのか…。
高林茉莉(小松菜奈)分析

20歳で数万人に1人という不治の病で余命が10年であることを知る。生きることに執着しない、死を望む姿と、生きることを希望する姿が何度も登場し、ヘアメイクでもその違いを見ることができます。
基本的には真面目な印象で、服装やヘアメイクはシンプルでシャツやニットなどが多いです。ボタンを上までつけることで、彼女の真面目で大人しい性格が現れています。
『ファッションのポイント』

服装は基本的にシンプルで季節に合わせてシャツやニットを着用し、靴はスニーカーを履いています。病院での服装はシンプルなパジャマにカーディガンと、患者を連想させる服装となってます。しかし、妄想内での出産のシーンでは、同じ病院でも淡いピンクのパジャマにすることで、病気の患者とは違う印象を与えています。また、この映画で茉莉が緑色の服やアイテムを着用している姿が多く見られます。これについて監督は、原作作者で同じ病気で亡くなった小坂流加さんが好きな緑色を反映させていると語っています。
『ヘアのポイント』

ヘアは年々髪が伸びていく中、和人と別れてからバッサリ切るところが印象的です。初めはストレートで下ろしている姿が多いですが、記事を書く時は髪を結ぶ事で気合いの入れようを表現しています。また、和人と付き合ってからは、髪を巻いている姿もよく見られます。恋をする事で可愛くなれる女性の表現や、時代の変化を感じることができます。
『メイクのポイント』
メイクではその時の様子を知ることができます。体調や気温、走った後の姿、喜怒哀楽など、多くの表現がこの作品では感じることができます。
基本的に病室では体調が悪く、青白くて血色のない姿が見られます。また、ツヤ感も少なく、唇は少しカサついているようにも見られます。最後の死に際では、唇をほとんどベージュで塗ることで、より血色のなさを表現し、死が近づいていることがわかりやすくなっています。また、アイシャドウを少し暗くすることで、栄養不足で痩せた姿も表現されています。
一方、友達と遊んでいる時や、和人と付き合っている時は血色の良さとツヤ感がみられます。唇の色やハイライトを入れることでその時の体調を表現していると考えられます。
妄想内での元気な姿では、より全体的に濃いメイクをすることにより、病気のない、未来の様子を表現しています。
真部和人(坂口健太郎)分析

生きることに迷い、追い込まれた姿から、茉莉と出会い、一緒に生きるという夢を持つ姿までの感情がヘアメイクを通して多く感じられます。
『ファッションのポイント』

服装はシンプルめで、落ち着いた色の服が多いです。基本的にはきちんと着ている姿ですが、自殺を望む時や、茉莉に振られた時など、感情が荒れている時は服装も乱れている姿が見られます。部屋の様子から、同窓会前は緩い服装だったのでは?とも考えられます。
『ヘアのポイント』

茉莉とは逆に、和人は年々髪が短くなっていく姿が見られます。同窓会では人と会うのが久々ということもあり、前髪は長く、目元が隠れているようなヘアスタイルになっています。しかし、茉莉と出会い、距離が縮まることで前髪を流して目元が見えるようになったり、付き合ってからはさらに髪を切り、ヘアセットされた姿になっています。こちらは茉莉同様、恋をすることでかっこよくなる姿や、性格が明るくなっているように感じられます。
また、2019年からのシーンでは、七三分けにすることで、より大人で真面目な雰囲気を感じられます。数年間の時代の流れを髪型からより感じることができます。
『メイクのポイント』
同窓会での酔った姿は、顔を青白くすることで表現されています。涙目も相まって今にも吐きそうな姿が上手く表現されています。同窓会後の部屋のシーンや病室のシーンでは、伸び切った髭が印象的です。生きる気力を失い、脱力感が感じられます。退院後の怪我の跡も自然に表現されています。
富田タケル(山田裕貴)分析

元気な性格なタケルは、服装から感じることができます。スーツ姿が多いですが、赤の水玉ネクタイなど、柄モノが入ることで、やんちゃさが感じられます。私服も少ないですが、柄シャツや丈の短いジャケットなど、陽気で明るい性格が見られます。
藤崎沙苗(奈緒)分析

オン眉お団子で明るい色の服装から、こちらも明るい性格が表現されています。途中では髪の毛の色が明るく、ストレートの姿が見られますが、最終的に黒く結んでいる姿から、時間の経過が感じられます。
高林桔梗(黒木華)分析

濃いメイクや服装が明るい姿は、病気の妹とは逆の健康な姿が感じられます。より茉莉が血色のない姿に見られます。また、ロングカーディガンや、おでこを出して面長を強調することにより、大人っぽさが演出されています。
まとめ

2013年から2019年という時間の流れや、感情の変化が大きいこの作品では、ヘアメイクやファッションでの表現がわかりやすく感じられます。注目してみることで、流行りが変わってきている様子も感じられました。私自身この映画を見たのは2回目でしたが、1回目では感じられなかった色の使い方や感情の表し方が見られました。
平成の様子を令和の時代と比べてみるのも面白いので、ぜひヘアメイクやファッションに注目しながらご覧ください。

















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