
時代背景やストーリー、人物自身の性格など、さまざまな意図が込められ作られている映画ヘアメイク。この記事では、ニューヨークのファッション業界を舞台にした映画『マイ・インターン』に登場する人物のファッションやヘアメイクを分析し、まとめています。
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マイ・インターン〜あらすじ〜

ニューヨークのファッション業界を舞台に、ファッション通販サイトを起業し、会社のCEOとして何百人もの社員を束ねるジェールズ。仕事と家庭を両立させ、順風満帆な人生を歩んでいるように見えたが、彼女に試練が訪れる。

そんなときに、彼女のアシスタントとしてやってきたのは、会社の福祉事業として雇用することになった70歳のシニアインターンのベンだった。人生経験豊富なベンは、彼女に”最高の助言”をアドバイスし、次第に二人は心を通わせ信頼関係を築き上げていく。
主要人物1.ベン・ウィテカー(ロバート・デ・ニーロ)

定年退職し、妻にも先立たれ、やりがいを求めて再び働きたいと、ジュールズのネット通販会社にシニアインターンとして入社し、ジュールズの直属のアシスタントとして働くことになる。若者ばかりの華やかな会社で最初は浮いているベンだったが、温かい人柄で人気者になっていく。
ファッションポイント

全体を通して服装はスーツ。若い人たちはカジュアルな服装で仕事をしており、ジュールズからも「スーツは不要。うちはカジュアルなの」と言われても、「カッコつけているわけじゃない。スーツが楽なので」と、自分のスタイルを貫いている。
劇中、スーツは色々変わっていくが、シャツはボタンダウンシャツばかりなのが印象的だ。これもまたベンのこだわりなのかもしれない。

そんな常に自分のスタイルを貫き通すベンだが、常にスーツの内ポケットに入れているものに驚いた。それは、”ハンカチ”だ。それも、「ハンカチは貸すためにある。女性が泣いたときに」と言っていて、いつでも木が配れるように準備しているそうだ。

持ち物にもベンの誠実さと優しさが表れている。
ヘアポイント

ヘアの変動は会社にいるときも家にいるときも変動はなく、常に清潔感を保っているベンの性格が表れているスタイル。
サイドはスッキリさせ、トップは一定方向に流すことによってボリュームを出している。どの場面を切り取ってもスーツにあった常に整えられているスタイルなのが印象的だ。
メイクポイント

肌質はマット。メイクしている感じもなく、しっかり粗を隠している。ベンは365日何も予定がなくても髭を剃っていると劇中で言っているため、常に髭はキレイに剃られている。
主要人物2.ジュールズ・オースティン(アン・ハサウェイ)

服を試着してコメントしたブログが人気になり、女性ファッションの通販サイト”ABOUT THE FIT”を立ち上げ、わずか1年半ほどで瞬く間に会社の規模を拡大させたやり手の女社長。
ファッションポイント

ファッション通販サイトのCEOなだけあって、劇中で着られている数々のスタイル。流行にとらわれすぎず誰にでも真似ができそうなスタイルが多かったのが印象的だ。

真っ赤なドレスを着るのは少し抵抗があると思っていたが、足元やバッグを黒や茶系で揃え、少しヒールのあるパンプスを合わせることでスッキリとした印象を作り出し、落ち着いた大人かわいいコーデに仕上げている。

こちらもまた真っ赤なパンツ。原色物のパンツは難しいと思われがちだが、トップスや足元をシンプルにまとめれば派手さも抑えられる。しかし、あえて柄のあるパンプスを合わせていることで、遊ぶようにファッションを楽しんでいることがこの画像からも伝わってくる。先程のドレスとはまた違った印象の元気な大人を演出している。


こちらはレザースカートに黒のラインが入ったジャケットを羽織ったモノクロコーデ。サングラスをかけても重たい印象にならないのは、膝丈上のキレイなAラインコートを身に纏っているからだ。レザースカートにすることによって、品のある女性を演出している。
ヘアポイント

ジュールズもヘアスタイルの変動はなく、一貫して7:8に分けたストレートスタイルだったのが印象的だ。常に仕事に追われ忙しくしていたからか、ヘアスタイルにかけている時間がなかったことが想像できる。
メイクポイント

メイクはナチュラルでピンク系のリップやチークが使われているが、かわいい印象になりすぎていないのは、ややアーチ状のストレート眉のおかげだろうか。アイメイクはナチュラルだが、インラインを引いて目力を出すことにより、CEOとして働く強い女性を演出している。
まとめ
日本だけではなく、世間的に女性や高齢者など多様な人々が活躍できると思える社会や文化を作るという点で、とてもいい映画だと感じることができ、何かを始めるときやリタイアしてしまいそうなときに、人の暖かさや仕事の大事さをわからせてくれる、そんな作品だった。
年齢も性別も住んできた世界も違うのに『仕事』を通じて理解し合えるなんて、ロマンスではないのにすごく夢があることを伝えてくれた。
また、メイクをナチュラルにして遊びすぎないぶん、ファッションで最大限に楽しむ、大人女性の魅力の引き出し方を教えてくれる作品だった。