時代背景やストーリー、人物自身の性格など、さまざまな意図が込められ作られている映画ヘアメイク。この記事では、『そして、バトンは渡された』に登場する人物のファッション、ヘアメイクについて分析・考察しています。

『そして、バトンは渡された』あらすじと人物

幼い頃に母親を亡くし、父親とも海外赴任を機に別れ、継母を選んだ優子。その後も血の繋がらない親の元を転々とし、今では料理上手な義理の父親・森宮さんと2人で暮らしていた。一方、何度も離婚と再婚を繰り返し、奔放に生きる魔性の女・梨花は突然、愛娘を残して姿を消す。

ある日優子の元に届いた一通の手紙をきっかけに彼らが隠していた嘘や秘密が明らかになっていく。

・みぃたん

優子の小学生時代。友達思いの優しい女の子。
幼い頃に母親を亡くし、父親と二人で暮らしている。

・梨花さん

目的のためなら手段を選ばない、魔性の女。子供好きだが、病気の為子宝には恵まれなかった。

仕事先が一緒であるみぃたんの”パパ”と再婚し、みぃたんの継母となる。

・パパ

みぃたんの実の父親。梨花と再婚するが、事業の為1人ブラジルへと旅立ってしまう。

・泉ヶ原茂雄

みぃたんの2人目の父親。

梨花がみぃたんにピアノを与えてくれる人を探していた時に出会い、結婚する。前妻とはかなり前に死別しており、大きいピアノと広い家、1人の使用人と共に暮らしていた。

・森宮さん

優子の3人目の父親。梨花の同級生で同窓会で再会し、結婚する。

東大出身で大きな会社に勤務しているが、仕事の手柄を他人に取られてしまうなど気弱な性格。

料理上手で、優子のお弁当も作る。父親としての役目を果たそうと奮闘するが、優子には少し煙たがられている。

・森宮優子

真面目で成績優秀な高校生。

他の生徒に何を言われてもニコニコしている事から、クラスでは少し浮いている。

梨花｜ヘアメイク・ファッションポイント

ファッションポイント

赤や黄色などの目を引く彩度の高い色の服や、大きな水玉模様のワンピースなど、派手に感じる衣装が多いです。活発で自由奔放な梨花のキャラクターをよく表した衣装になっていると思います。

また、遊園地のシーンでは普段スカートやワンピースが多い梨花のファッションですが、娘と一緒に遊園地を楽しみたいという心の現れか、パンツスタイルになっています。

ヘアポイント

ヘアは基本ストレートや巻いていたりなど、ダウンスタイルが多いです。

物語の中盤以降は帽子を被っているシーンがだんだんと増えていきます。これは、梨花の病気が進行しているというサインなのかもしれません。

終盤の方では、頭にターバンを巻き、その上に帽子を被るなど完全に頭を隠す様子が見られます。

しかし、病と闘いながらも帽子やターバンもおしゃれで華美なものを選んでいるのをみると、最後まで自分を貫き通す梨花の芯の強さが伺えます。

メイクポイント

華美なファッションとは対照的に、メイクはそこまで濃くありません。

眉毛は緩いアーチ形で柔らかな印象を与えます。アイメイクもチークも割と薄いです。

対して、リップは服装に合わせてローズ系や、ピンク、くすんだ落ち着きのある赤など変化しており、こだわりを感じさせます。

森宮優子｜ヘアメイク・ファッションポイント

ファッションポイント

高校生時代の優子は、他の生徒が制服を着崩したりアレンジしたりしているのに対して、一切着崩す事なくきっちりと制服を着用しています。

幼少期からおしゃれな服を着せてくれてた梨花の影響か、大人になってからの優子もカラフルな服を身に纏っていておしゃれな印象を与えます。

ヘアポイント

高校生時代は、きっちりと結われたポニーテールやハーフアップが多く、学校では髪を下ろしてることはなく、真面目な印象を与えます。

大人の優子は前髪を分け、髪を巻いていたり、ヘアアレンジをしていたりなどおしゃれを楽しんでいるように思えます。

メイクポイント

高校生の時はメイクはほぼしておらず、肌はマットな陶器肌で素朴な印象を与えます。

大人になってからもメイクは濃くなることはなく、素材を活かしたメイクが施されています。

ベージュ系のリップが使われており、ナチュラルな印象です。

分析結果

今回は、メインの女性キャラクター2人にフォーカスを当てて分析してみましたが、自由奔放でおしゃれが大好きな梨花とそんな梨花に育てられた優子のファッションに血は繋がっていなくとも親子として過ごした時間があることを感じられました。

梨花のどんなに辛い時でも笑顔でいるという強さがファッションにも表れていたと思いました。

このように、ストーリーやキャラクターの性格がヘアメイクやファッションから読み取ることができると思うので、皆さんもぜひ登場人物のファッションにも注目しながら作品をご覧になって見てください。