時代背景やストーリー。人物自身の性格など、さまざまな意図が込められ作られている映画ヘアメイク。この記事では、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』に登場する人物のファッション、ヘアメイクについて分析・考察しています。
コンテンツ
あらすじ
1985年、カリフォルニア州にある小さな街 ヒル・バレーに住む、ごく普通の高校生のマーティは、親友である科学者ドクが発明したタイムマシンの実験を行うため、深夜のショッピングモールで会う。そこで、タイムトラベルに必要な燃料を奪いリビアのテロリストから恨みを買っていたドクは、銃で襲われ撃たれてしまった。マーティは慌ててタイムトラベルができる車に飛び乗って逃げようとするが、誤作動で30年前の1955年にタイムスリップをする。そこで出会ったロレイン(マーティの母)が、未来の息子と知らずマーティに一目惚れをしてしまうが、過去が変わると未来の自分が存在しなくなってしまうかも知れない。
マーティ・マクフライ
マーティが履いていたパンツのマークであるカルバンクラインは、1968年にアメリカ人デザイナーのカルバンクライン氏によって設立されたブランド。よって、マーティがタイムスリップした1955年にはまだ”カルバンクライン”というブランドは存在しておらず、ロレインがパンツのマークを見た際に主人公の名前と勘違いするなどしていた。
ヘアは大人らしさと清潔感のあるかきあげヘア、ファッションはデニムが流行していた。
エメット・ブラウン博士『ドク』
ドクは発明家で変わり者の性格が特徴。科学者らしく基本的に白い服・白衣を着ている。研究しているときは服や顔が黒く汚れているのがわかる。ヘアはオールバック風な何もセットしていないようなスタイルが多い。
ジョージ(マーティの父親)
1980年代の父はシャツに蝶ネクタイのスーツ姿にメガネをかけていた。髪型はツーブロックリーゼントで、きっちりしている印象。マーティがタイムスリップした先で出会ったジョージも同じような髪型をしていたが、30年前なので1980年代の父よりボリュームがあった。シャツにジャケットを着ており、スーツ姿とは真逆のラフな印象。
ロレイン(マーティの母親)
1950年代は若者が文化の中心となり始めた時期であり、当時定番だったウエストにベルトがついたワンピースを着ている。まだミニスカートは登場していない時代なので、スカート丈が長くふんわりしたシルエットのフレアスカートと、まっすぐなラインのスカートの2タイプが基本であり、ロレインもこれらのタイプのスカートを着用している。
マーティがタイムスリップした先で会ったロレインも、当時人気であったドレスを着用してパーティーに参加している。
ヘアは画像のようなボムシェルヘアをしており、80年代では聖子ちゃんヘアのような髪型だった。
メイクはオレンジベースで、アイメイクの主張を感じる。口紅はツヤよりもマット気味。
ジェニファー・パーカー(マーティの恋人)
ひとつひとつのアイテムはカジュアル。スリムなシルエットのパンツに対し、ジャケットは大きく腕まくりをしている。シャツの襟を立てているのは1980年代の代表的なスタイルである。
髪型はボリュームのある根元を立ち上げたパーマヘア。メイクはアイメイクがしっかりめで、口紅はマットすぎずツヤがある印象。眉毛がしっかり描かれている。
全体的なメイク・ファッションのポイント
タイムスリップした先である1950年代
女性はレトロなヘアスタイルで、太めのカールでふんわりしたシルエットが多く見られた。服装はチェック柄のものやワンピースを着ている人が多い印象。
男性はきっちりしたツーブロックリーゼントがほとんどで、服装は肩幅が広いスーツに帽子を被る人が多い。
タイムスリップ前の1980年代
女性はボリュームのあるヘアやレイヤーを効かせた存在感のあるヘアが多く、メイクが色鮮やか。服装は大人っぽいシャツの襟を立て、スカーフを取り入れたスタイルが流行していた。
男性はふわっとかきあげたヘアスタイルが主流。ジーンズが流行していた。
まとめ
ヘアメイクやファッションに注目して映画を見るのは初めてだったが、いろいろな発見があり良かった。二つの年代を行き来しているこの作品では、流行の変化がわかりやすく面白かった。また、現代のファッションやメイクにも通じているところも見られ、流行は回るんだなというのも感じることができた。